マクロ経済スライドとは?分かりやすく解説。

年金問題イメージ

マクロ経済スライドとは?

タロウ先生:マクロ経済スライドとは2004年から導入された制度で、年金受給者の増加や、平均寿命の延び、更に少子化に伴い年金を払う人が減少することなどを考慮して、年金の給付金額をカットする制度のことだワン。

あすか:年金がカットされる制度?私たちが将来もらえる年金が減らされちゃうってこと?

タロウ先生:まあ、あすか達の世代が受け取る年金額は、今の年金世代の人たちの額より少なくなることは確かだワンね。
でも、このマクロ経済スライドは、年金額が増加する予定になった場合にのみ、その伸び幅を少しだけ抑えましょうという制度だワン。
なので、政府が年金額の見直しをした際、年金額が減る場合、もしくは変わらない場合はマクロ経済スライドは発動しないワン。

例えば、賃金が1%増加したから、年金額も1%増やそうというのではなく、年金額は0.7%増に抑えましょうというのが、マクロ経済スライドの制度だワン。

あすか:なるほど。たしかに、少子高齢化社会だったら、若者の賃金が増えたからと言って、同じ割合で年金額を増やしたら、年金受給者の数の方が多い訳だから、年金制度が破綻してしまいそうだよね。

タロウ先生:そうだワン。
年金のスライド方式には、マクロ経済スライド、物価スライド、賃金スライドの3種類があるワン。

先ほども言ったように、マクロ経済スライドは、年金の増加に伴い発動されるものだから、年金が変わらない、もしくは減少となる場合は発動されないワン。 2004年の導入以来、 物価上昇率の低迷が続いているため、 物価スライド特例措置による額が続いていて、結局マクロ経済スライドは2014年度まで一度も実施されなかったワン。

あすか:それ以降は、実施された時があるの?

タロウ先生: マクロ経済スライドが発動した事は、2015年と2019年の2回だけだワン。

キャリーオーバー制度とは?

キャリーオーバー制度とは、平成30年度から導入された制度で、 前年度よりも年金の名目額を下げないという措置は維持した上で、 マクロ経済スライドによる未調整分を翌年度以降に繰り越す仕組みだワン。

過去の未調整分の累積(特別調整率)を改定率に乗じることによって、未調整分を含めた調整を行うこととなるワン。

あすか:つまりどういうこと?

タロウ先生:たとえば、前年度はマクロ経済スライドが発動しなかったとするワン。すると、その発動しなかった未調整分が累積されるワン。
そして今年度、年金額がプラスになったとするワン。
すると、マクロ経済スライドが発動し、まず、今年度のマクロ経済スライド分が引かれ、そのあと、累積分されていた分も引かれるという仕組みだワン。

但し、 マクロ経済スライドによって引かれる割合は、年金額が前年度よりもマイナスにならない程度に留まるワン。

あすか:なんだか難しいけど、つまり、 マクロ経済スライド が発動しなかったとしても、それは累積されて行って、年金がプラスになった時にまとめて引かれるっていう事だね。

タロウ先生:そう、それがキャリーオーバー制度だワン。


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