コロナの影響により、納税や厚生年金保険料等の納付が難しくなった場合の猶予・免除について(5月2日更新)

※令和2年5月2日、記事を追記・修正いたしました。

現在、世界で猛威を振るう新型コロナウィルス。
経済に与える影響も計り知れず、危機的状況に追い込まれる企業も少なくありません。
今回は、コロナウィルスの影響により納税や厚生年金保険料等の納付が難しくなってしまった場合の、猶予・免除の制度についてご紹介いたします。

※すべてを網羅しているわけではありませんので、ご注意ください。
また記事公開時(令和2年4月12日時点)の内容となっておりますので、のちに変更される可能性があります。

厚生年金保険料等の納付の猶予(既存の制度)

災害などよって経営状況などに影響があり、一時的に厚生年金保険料等の納付が困難になった場合、年金事務所に申請し、法令の要件を満たすことで、原則1年以内の期間に限り、「換価の猶予」が認められます。

「換価(かんか)」というのは、厚生年金保険料等の支払いをしなかった場合、徴収方法として、財産を差し押さえられ、それを保険料の支払いに充てられるというようなことだワンね。
この制度は、その「換価」が猶予されるということだワンね。

「換価の猶予」の手続き方法

厚生年金保険料等の納期限から6月以内「換価の猶予」の申請が必要です。
換価の猶予が認められた場合は、納付すべき社会保険料を一定の期間(猶予期間)内に分割して納付することになります。
また、猶予期間における、延滞金の一部が免除されます。

「納期限から6か月以内」にっていうことは、納付期限が過ぎてから申請書を提出する形で良いっていうことかな。

そうだワン。詳しくは、管轄の年金事務所に問い合わせるのが一番だと思うワン。

また、似たような制度で、「納付の猶予」という制度もあるワン。詳しくは、日本年金機構のホームページを調べてみると良いワン。

厚生年金保険料等の納付の猶予(コロナウィルス感染症による特例)

「換価の猶予」「納付の猶予」は以前からある制度だけど、今回のコロナ騒動によって、「納付猶予の特例」というものが創設されたワン!

厚生年金保険料は毎月納付しないといけないから、このコロナ騒動のせいで支払いが難しくなる企業が多そうだね。
そんな中、支払いを遅らせてもらえるのはかなり助かるね。

「納付猶予の特例」の手続き方法など

対象となる事業所は?

新型コロナウィルスの影響により、令和2年 2 ⽉以降の任意の期間(1か⽉以上)において、収⼊が前年同期比の20%以上減少しており、一時に厚生年金保険料などを納付することが困難である事業者です。

猶予期間は?

猶予期間は1年間です。この間、担保の提供は不要で延滞税もかかりません。

申請方法は?

「納付の猶予(特例)申請書」を郵送などで提出します。
申請書は、日本年金機構のホームページよりダウンロード出来ます。

申請書は、売上額や預貯金の額を記入する欄があるワン。

申請期限は?

「指定期限」までの申請が必要です。

「指定期限」とは、納期限のおよそ25日後だワン。
納期限までに納付が無かった場合に送付される「催促状」に記載されているワン。


さて、ここまでは厚生年金保険料等についてのお話だったけれど、次は税金の納付についてのお話だワン。

納税の猶予(既存の制度)

納税により、事業活動や生活の維持が困難になる恐れがある場合、原則として1年間の納税の猶予を受けられる制度があります。

「納税の猶予」の手続き方法

国税のの納期限から6月以内「納税の猶予」の申請が必要です。
納税の猶予が認められた場合は、納付すべき国税を一定の期間(猶予期間)内に分割して納付することになります。
また、猶予期間における、延滞金の一部が免除されます。

納税の猶予(コロナウィルス感染症による特例)

国税についてもコロナ騒動によって特例猶予が創設されたワン!

納税の猶予(特例)の対象となる税は、ほぼ全ての税金

対象となるのは、令和2年2⽉1⽇から同3年1⽉31⽇までに納期限が到来する所得税、法⼈税、消費税等ほぼすべての税です。(印紙で納めるもの等を除く)

既に納期限が過ぎている未納の国税(他の猶予を受けているものを含む)についても、遡ってこの特例を利⽤することができます。但し、施行から2か月間(令和2年6月30日まで)に限ります。

これは助かるね。この制度を使うには、条件とかはあるの?

条件などは下記の通りだワン。

納税の猶予(特例)の対象者

対象となるのは、新型コロナウイルスの影響により、令和2年 2 ⽉以降の任意の期間(1か⽉以上)において、収⼊が前年同期比の20%以上減少しており、一時に納税を⾏うことが困難である方です。

この条件を満たせば、個人・法人やその規模を問わず対象となるワン。

どのくらいの期間猶予してもらえる?

猶予期間は1年間です。この間、担保の提供は不要で延滞税もかかりません。

申請方法は?

「納税の猶予申請書」を所轄の税務署(徴収担当)に郵送やe-TAXなどで提出します。

申請書は、売上額や預貯金の額を記入する欄があるワン。

申請期限は?

納期限までに申請が必要です。
但し、施行から2か月間(令和2年6月30日まで)は納期限後でも申請可能です。

固定資産税の減免(コロナウィルス感染症による特例)

2021年度の課税分において、建物や設備などの、固定資産税の一部が減免となる特例が創設されました

これは、先ほどの猶予とは違い、減免なので、支払う金額の一部が減る制度だワン。

猶予は支払うのを遅らせることだけど、減免は支払う金額自体を減らしてもらえるっていう事だね。

そうだワン。

固定資産税の減免の対象者

対象となるのは、令和2年2月〜10⽉の、任意の3ヶ⽉の売上が前年同期⽐の30%以上減少した中小事業者です。

どのくらい減免してもらえる?

前年同期比(3ヵ月間)と比べた売上の減少割合免除割合
30%以上50%未満の減少1/2免除
50%以上の減少全額免除

まとめ

国税厚生年金保険料などは、収入が前年比で20%以上減少している月が1か月以上あり、所定の申請書を提出すれば、1年間の猶予が受けられることになりました。(新型コロナウィルスによる特例)
また、特例の猶予を受けられない場合でも、既存の猶予制度を受けられる可能性があります。

固定資産税については、条件を満たせば減免、または全額免除となります。条件は、令和2年2月〜10⽉の、任意の3ヶ⽉の売上が前年同期⽐の30%以上減少した中小事業者です。

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