【FP試験対策】老齢厚生年金を分かりやすく解説

老齢厚生年金とは?

さて、前回の記事では「老齢基礎年金」について勉強したワンね。

うん、「老齢基礎年金」は、日本に住む20~60歳の人すべてが加入するものだったよね。

そうワン。それに対して今回勉強する「老齢厚生年金」とは、会社員や公務員の人が、「老齢基礎年金」の上乗せとして加入する制度だワン。
図で表すとこんな感じワンね。

会社員や公務員の人は、将来貰える年金が、自営業の人等よりも手厚いんだね。

そうだワン。それではまずは、老齢厚生年金の受給要件を見ていくワン。

老齢厚生年金の受給要件

①老齢基礎年金の受給要件を満たしていること
②厚生年金の加入期間が1か月以上あること

①の老齢基礎年金の受給要件については、前回の記事を参考にしてほしいワン。

確か、年金を納付している期間が10年間以上必要なんだよね。

簡単に言うとそうワン!

老齢厚生年金の繰上受給・繰下受給とは

前回勉強した通り、老齢基礎年金は、本来65歳から始まる受給を早めたり遅らせたりすることが出来たワンね。

うん、受給を早めればその分もらえる年金額が減って、遅くすればその分増えるんだったよね。

そうワン。それを「繰上受給・繰下受給」というのだけれど、これは老齢厚生年金でも行うことが出来るワン。

「繰上(くりあげ)受給」
60~65歳の希望する月から早めての受給が可能。
・年金額は、『繰上げ月数×0.5%』減額される。(減額された年金が一生涯続く)
 (※2022年4月以降、『繰上げ月数×0.4%』に改正予定)

「繰下(くりさげ)受給」
66歳~70歳の希望する月から遅らせての受給が可能。
・年金額は、『繰下げ月数×0.7%』増額される。(増額された額が一生涯続く)
 (※2022年4月以降、繰下げ受給の上限が70歳から75歳へ引き上げられる予定。)

繰上(くりあげ)受給は老齢基礎年金・老齢厚生年金同時に行わないといけないけれど、繰下(くりさげ)受給は別々に行うことが出来るワン。ここはポイントワン!

60歳から受け取れる「特別支給の老齢厚生年金」とは?

老齢厚生年金は、老齢基礎年金と同じように65歳から支給されるものだけど、実は60歳から支給される「特別支給の老齢厚生年金」というものがあるワン。

えっ、60歳から年金を受け取れるの?

「特別支給の老齢厚生年金」については、皆が受け取れるものでは無いワン。
受け取れるのは、下記の条件を満たす人だけだワン。

『特別支給の老齢厚生年金』の受給要件

①老齢基礎年金の受給要件を満たしていること
②厚生年金の加入期間が1年以上あること
③男性は1961年4月1日以前に生まれていること。女性は1966年4月1日以前に生まれていること。

老齢厚生年金の受給要件では、厚生年金の加入期間が1か月以上とあったけど、「特別支給の老齢厚生年金」では、厚生年金の加入期間が1年以上必要なので、注意が必要ワン。

私の場合、①と②は満たすけど、③の1966年(男性は1961年)4月1日以前生まれっていうのは該当しないや。
1966年生まれっていったら、現時点(記事作成:2021年)で55歳の人か…。
なんだか、限られた人だけが貰えるものなんだね。

そうワン。
昔は年金の支給開始が60歳からだったけれど、それが65歳に引き上げられる事になり、その際、当面の間は「特別支給の老齢厚生年金」という形で60歳からの支給を続けようと始まったのがこの制度ワン。

男性は1961年4月1日以前に、女性は1966年4月1日以前に生まれていることが要件だけど、それ以前に生まれた人はがみんな同じ額を貰えるわけでなく、遅く生まれた人ほど、受給額が少なくなっていき、最終的に0になるワン。
0になるというのはつまり、65歳からの通常の老齢厚生年金の支給のみになるということワン。

「特別支給の老齢厚生年金」の受給パターンについては、下記の一覧表を参考にしてほしいワン。

ダウンロードのリンク 新規ウインドウで開きます。受給開始年齢の一覧表(PDF 899KB) 【日本年金機構ホームページより】

そっか、昔は60歳から年金がもらえてたのか…。

もう一つ、覚えてほしいことがあるワン。
上記の日本年金機構の一覧表(リンク先)を見てもらうと分かるけれど、
「特別支給の老齢厚生年金」は、比例報酬部分定額部分に分かれていて、それぞれ65歳になると、

比例報酬部分 → 老齢厚生年金へ
・定額部分   → 老齢基礎年金へ


という風に自動で切り替わるワン。ここも大事なポイントなので覚えておいてほしいワン。

老齢基礎年金の金額調整を行う「経過的加算」

「特別支給の老齢厚生年金」を受給していた人が、65歳になって通常の年金に切り替わった際に、老齢基礎年金の部分がそれまでもらっていた「定額部分」の金額より少なくなってしまうことがあるワン。
その際に調整額として支給されるのが「経過的加算」ワン。

家族がいる場合に増額される「加給年金」・「振替加算」

「特別支給の老齢厚生年金」や、(通常の)老齢厚生年金を受給する際に、配偶者やお子さんがいた場合、条件を満たせば追加の支給が受けられるワン。これを「加給年金」というワン!

【加給年金の受給要件】
〇受給者 …厚生年金の加入期間が20年以上あること
〇家族  …生計を維持されている65歳未満の配偶者
      生計を維持されている18歳到達年度末日までの子(3/31までに18歳になっていない子)

【加給年金の受給額】(2021年時点の額)
〇配偶者 … 224,700円 (受給者の生年月日に応じて、33,200円~165,800円の特別加算あり)
〇子   … 1人目・2人目 各224,700円、
         3人目以降 各74,900円

また、配偶者が65歳に到達した場合、その分の加給年金は打ち切られてしまうのだけれど、かわりに配偶者の老齢基礎年金に加算があるワン。これを振替加算というワン。

なんがか加算がたくさんあって頭が混乱する…。

大事なポイントなので、頑張るワン!

働きながら年金を受給している人に関わる「在職老齢年金」

60歳以降、年金を受け取りながら働いている(厚生年金被保険者として年金を納めている)ひともたくさんいるワンね。
そういった人達は、給料の額によって、受け取れる年金の額が減額されることになっているワン。この仕組みを、「在職老齢年金」と呼ぶワン。

そうなんだ!どのくらい給料をもらっていると減額されてしまうの?

具体的には、

【60歳から64歳】
給与等 + 年金月額 が28万円を超える場合(※2022年4月より47万円に改正予定)


【65歳以上】
給与等 + 年金月額 が47万円を超える場合

に年金額の減額が開始される
ワン。

せっかく頑張って働いているのに、年金が減らされてしまうはちょっと寂しいね。
それにしても、年金て奥が深い…。

仕組みは複雑だけど、自分や家族の将来に関わることなので、覚えておくと為になると思うワンよ!

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